2017年1月9日月曜日

making of ベニヤカウル。

ずいぶん前にプライベートのFBに投稿してたやつの転載です。
去年のエネワンにベニヤカウルの車両で参戦してKV-2クラス優勝+デザイン賞なんて初めて頂いたのでちょこっと。

正直、ベニヤでカウルはお金も手間も掛かってネタ以外の何でもないのでオススメ出来るものではありませんが、2次曲線のカウルでもそこそこ行けるんだ~と思って頂ければ。

色々あって6月末から2年前に製作した木製フレームに合わせてカウルを製作する必要が出たのですが、今更プラダンとかはあり得ないので以前からやってみたかったスティッチ&グルー工法(の真似事)でカウルを作ることにしました。
やりたかった事できてラッキーくらいしか考えてなくて、普通に走ればクラス3位くらいで良いや程度の気合いでした・・・。



14mk1_2016















鈴鹿ではオール木の車体で随分珍しがって頂けたのですが、業界的には池上さんの電池くんやGHクラフトチームの車体で木製フルモノコックがトライされてて二番、三番煎じ感は否めないと思っているのですが・・・w
先入観(?)で木だと重くて弱いイメージを持たれている方も多いのですが、木材はCFRP等に比べて最良ではないと思いますが、工夫次第で良いものが作れる材料だと思ってます(偉そうに言えるほど使いこなせていません)。
特に、今回のような二次曲面カウルを製作する際は繊維で持っている材料なので捻り形状も作りやすく、思い通りの二次曲面カウルが作れる良い素材だと思いました。




長くなりましたが、ここから本題です。
スティッチ&グルーはカヤック、ヨットなんかの業界で型を成型せずに船体を手軽に作る工法として個人ビルダーを中心にメジャーな手法(のよう)です。
船体の展開形状に切り出した合板と合板同士を銅線で縒って縫い合わせ(スティッチ)→継ぎ目をパテで整形→ガラスクロステープをFRP積層(グルー)→表 面をガラスクロスで積層してコーティングと言う流れが基本らしいのですが、エコランカウルは水に浮かぶ訳では無いので継ぎ目のパテは出来るだけ省略、表面 の処理もエポキシ樹脂だけを塗るようにしました。また、ガラスクロスの手持ちが殆ど無いのでカーボンクロス使いました。

材はカヤックなんかでは3mm前後厚の板を使うようですが、エコランカウルなので耐水性とかも抜きで軽く!と言うことでシナベニヤの中で曲げベニヤと呼ばれる物で最薄の1.6mm厚の板をチョイスしました。
サブロク定尺で4枚買いましたが、12mmのランバーコアと3mmのラワンベニヤがオマケで付いてきましたw


曲げシナベニヤ t1.6













見よう見まねで始めましたが、どっからどう考えても展開図の作図精度と切り出し精度が完成精度に影響するので珍しく3D CADでカウルの絵を描いて展開図を作成しました。2D CADで感性で翼型を描いたのをベースに断面図を作図し、3D CADに断面図を移して面を貼りました。なんか面倒くさいけど、3D慣れしてないのでこれが一番マシ・・・。


3D CAD図














ベニヤは予め余裕を見てカットしておき、2枚を継いで長い材料を作ります。継ぎ方はスカーフジョイントがメジャーなようですが、時間が無くて面倒なので(?)斜めにカットして突き合わせ、CFテープをFRP積層して継いどきました。


板の突合せ

突合せ部をCF 1ply+ピールプライ積層


























作図した展開図をセブンイレブンのゼロックスでコピーしてベニヤに貼り付け切り出します。(印刷屋さんで大きく印刷すれば良いんですが、土日やってない・・・。)
切り出しはピラニアソーで行ったあと、左右の板を重ねてクランプしてからサンダで外周を削って仕上げ。
アンダカウルはスティッチ&グルーではなく、3mmの化粧ベニヤで作ったフロアに側板をグルーガンで仮止めしたあと、樹脂パテで角にフィレット →CFテープでオーバレイアップ。硬化後、4mmのシナベニヤで作ったフランジを5分間エポキシで接着→樹脂パテ→CF。


切り出した床板+切り出して接いだ側板

床板と側板を固定

フランジを接着























アッパカウルは出来上がったアンダカウルにアッパ用のフランジ板を仮固定し、下部をアンダカウル同様に製作。

展開形状に切り出した部材






















アンダー側をジグにアッパを組み立てていく











カド部をCFテープ+エポキシで積層
















さて、ここからスティッチ&グルーですよ。
先に作ったアッパカウルの下部にパネルを銅線(1.0mmのマグネットワイヤ)でスティッチしていきますが、形状が保持出来なかったのでスタイロで断面形状を作って接着しておきます。


しっぽのスティッチ

スタイロ断面

スタイロ断面をガイドにしてスティッチ組み立て






































スティッチのやり方は完全手探りでしたが、出来る限り外より(5mm以内)、板が薄くて波打つのでピッチは細かい(20~30mm)方が良かったです。銅線をよっていくとあら不思議、形が決まってきます。


銅線を通しただけ

屋根の部材を仮置き

スティッチして形を整える





































あとは内側の角をCFテープを積層。アッパは殆ど鈍角なので樹脂パテも省略。
側面から組み立てていき、屋根は左右2枚を先に仮スティッチしたものを本体に合わせて組み立てました。CFテープが硬化後、銅線をほどき、抜き取るor切るで処理します。
最後に裏、表面にエポキシ樹脂を塗ってコーティング仕上げとしました。

スタイロ断面の端材を足にして作業
全部のカドに積層した状態 (きたない)

























カタチになった















コーティングが硬化したら窓を超音波カッタで切り抜き→抜きカスをガイドに窓用の樹脂板を切り出し→両面テープとビニテで窓貼り。
あとはフレームとの固定具、アッパ~アンダを固定するフック、ロックなど作って完成。


型紙を使って窓抜き

なかみ

なかみ





































中身のフレームは14年に製作したもの (14mk1)をベースに一部補強と、特電モータに合わせて設計されていたリア周りをミツバ Kt-Mに合わせて作り直したくらい。
特別な所はこれと言ってナシ。

7月に入ってから材を切り始める無謀なスケジュールでしたが、皆様の協力を頂いて何とか完成しました・・・。新しい工法を試すことで得られることは多かったですね!