エコラン・ソーラーカー業界に多大なる貢献をしてくださっているZDP池上さんが今年還暦と言うことで、還暦祝いの余興(?)として歴代の名車を走らせる企画をしました。Team JunkYard 2026の活動として、404ecorunではスーパーでんちくんをレストアして白浜大会へ参戦です。
スーパーでんちくん
事の始まりは2023年、東海大学ソーラーカーチームも入っていた作業場(通称:円形)が解体された際に保管されていたZDP車両が放出されたところからです。
10月の誕生日の池上さんですが、白浜大会がちょうど10月前後になり、ソーラーとエコランが同時に集まるイベントかつ、我々の無理も利かせられる大会であるため絶好のタイミングとなりました。
デモランみたいなものではなく、レースに競技車両として参加する趣旨としました。404eocrunオペレーションのスーパーでんちくん(WEM97、98チャンピオンン)、某SU SDさんがミラクルでんちくん(2003チャンピオン)、長野SUNチームがガメラ(ソーラーカー)の3台で『Team JunkYard 2026』として参加することになりました。
と、言うことでスーパーでんくんちのレストア作業の模様をお伝え出来ればと思います。最初の回はLWRモノコック修復編です。
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●現状認識
2023年に東海大より持って帰ってから全く手つかずで放置してましたので、引っ張り出すところからスタートです。これが5月末でした。
| 保管先の2Fから降ろしてきた |
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| 全体外観 |
前々から分かってた事ですが、左側のスパッツが盛大に割れている状態の補修が大きな作業です。細々と確認すると、カウルの割れなども多々見られ、なかなか大掛かりな補修作業が予想されました。
また、車両内部についてもフロント周りはオリジナルの状態で残っていますが、リア周り(ホイール、ブレーキ、モータ周り)は一切無く、新規に製作・手配する必要がありました。
| スパッツ部の割れ |
●コンセプト
元の状態は極力生かしつつ、現代のレースでも戦えるレベルにする方針とし、準備します。
と、言うことであまり当時モノ感などは無視して、手持ちのストックパーツ、スペアパーツを極力活用して準備することにしました。(予算も無いし・・・)
・フロント周り(ステア、ホイール):現状ママ(オーバホール実施)
・モータ:手持ちキットモータ。マウント類は無いので新規設計・製作
・ホイール:手持ちの20inホイール
・駆動系:チェン駆動+手持ちのシングルフリー
●LWR修正(型)
ファクトリに持ち込んだ後、一旦、定盤に置き、先ずはセンタライン決定、各部採寸を行いました。その後、スパッツの補修に着手です。
大きく欠損していますので今回は、現物を補修してマスタ型→wet積層で型反転→破損部を切除→代わりの製品を製作→接着の流れとしました。(小さな欠損であれば、発泡材を裏に充てて表からwetレイアップ→研磨仕上げでも良いですが・・・今回はそう言う規模ではないと判断しました。)
製品から直接マスタを作りたいですが、欠損箇所を補正して基準の形状を作る必要があります。先ずは、スチレンボードでリブを作り、補強します。固定はホットボンドです。残ってるボデーのうち、割れている個所を瞬間接着剤・wetレイアップで裏面にオーバレイすることで形状を固めて行きます。
割れた箇所が互いに重なっていると後々に響きますので、そのような場合はリュータで割れた部分をカットし、極力スムーズな基準形状を作ります。
| 割れてる箇所のツラ合わせ。クリップで固定 |
| オーバレイ補修 |
その後、裏からスティック状に切り出したスタイロフォームの接着や2液発泡ウレタンを使って欠損部を造形していきます。おおよその形が出来たらパテで表面を仕上げます。おおよそとは言うものの、パテで造形は大変なので発泡材で基本形状を作ります。
ですが、壊れたものを無理やり直していますので、形状に無理がある場合は再度切除してから造形しました。
| 割れ具合がよくわかる・・・ |
| 切り取って・・・ |
| またパテ・・・ |
スタイロ溶ける懸念がありますのでパテは発泡スチロール用のポリエステル樹脂で樹脂パテを作りました。今回使った2液の発泡ウレタンが想像以上に柔らかくて途中で凹んでしまったりで時間が掛かってしまいましたが、#600~1000ぐらいまで研いでマスタ完成としました。
元製品のボイドが酷い部分や穴の開いている部分はテープで埋めた後、t=3mmのPETで作った割板を立てました。
| 割板 |
離型処理をして反転型を積層します。一人作業で段取りも良くないですので、樹脂はエポキシ樹脂を使いました。型の剛性が出るよう繊維はCFとGF半々ぐらいの積層構成です。
| 型積層完了 |
| 切断範囲検討 |
| カット |
反転型が硬化しましたら、いったん脱型します。その後、製品側の切断範囲を決め、破損個所(マスタ型部分)を切り取ります。切り取った後で切り口を仕上げ、先ほど脱型した反転型を製品に戻し、切り口をガイドに方へケガキを行います。このケガキが後の成型製品トリム基準になります。
●LWR修正(製品)
ケガキが入ったら軽く磨いて、離型処理を行い、製品を積層します。元製品の積層より分厚くなりますが、確実性を重視してCF 2~3plyで製品を積層しました。タイヤ開口部のある底部は剛性確保と、路面に擦ることを考え4ply目安で繊維のオーバラップも多めに取りました。
成型は手持ちの適当なエポキシでwet/vac成型としましが、加温硬化で熱膨張する懸念もありますので常温硬化です。硬化したら慎重にトリムをして合わせ込みます。最終接着剤で埋まるので多少の隙間は問題ありませんが・・・。
| 製品成型 |
| 合わせ |
接着は今回、ちゃんと出来る自信が無かったので調整出来る(つもりだった)ように、成型した製品と車体とを型で合わせた状態で合わせ用の接着フランジ(ジョグル)をwet積層→一旦脱型してから接着剤で接着の手順としました。結果から言うと後から調整する余地なんかありませんでしたのでwet積層で貼り合わせてしまえば賢かったです。これで硬化待ち時間含め余分に1日作業日を使ってしまいました・・・。
接着フランジをwet積層する際は、製品同士がくっ付かないように、離型性のあるテープで縁を切っておきます。テープはPPとかテフロンのテープなど何でも良いですが、薄手で扱いやすいフラッシュブレーカを使用しました。広めに貼ってからテープでフチをカットすると、板厚分の断面までテープで覆われますから都合良いです。
| 下地にテープを貼った状態 |
wet積層はよくあるオーバレイ接着のそれと同様です。使用する繊維はCFをバイアスにカットしたバイアステープを使用します。あまり長いと扱いにくいですから、多過ぎず、少な過ぎずに適度に分割して積層します。曲線部はバイアステープなのでうにょ~んと伸ばせば問題ありません。積層の最終層はピールプライにします。
後からやると形状を出すのが大変なので、接着の前にカウルのフランジの合わせをしておきます。フランジの板はCFプリプレグ4plyくらいで予め成型したものを使います。型を基準に狂いが無いことを確認したら、位置ズレ防止の位置決めように細かく切ったSheetWAXを貼り付けておきます。
| フランジ接着準備 |
接着フランジが硬化した製品側は再度分離しますが、分離前に位置決め兼、接着時の固定用にリベット穴を共穴で開けておきます。こうしておけば、大きなズレが発生することは防げるかと思います。
| 仮組 |
成型品と車体を仮組し、ズレが無いことを確認したら、接着面のサンディング・脱脂をして接着作業を行います。先に書きましたようにこの時、リベットを表面から打って固定していきます。(リベッタに接着剤が付くのでこの作業は好きではありません・・・)
表面はピールプライではみ出した接着剤の処理をし、裏面はリベット後、ひっくり返してフィレットをヘラでつけて処理しました。
今回は接着で余分な手間を掛けてしまったのが反省点です。余分な手順を増やすことは時間のロスもそうですが、接着時のズレ発生の可能性も増やしますので旨味のある作業とは言い難いです。
カウルのフランジはCF平板でスプライスプレートを作っておいて予め接着してフランジ板の台座とし、切り出したCF平板を接着します。勿論、フランジのツラが合うように厚み合わせはしておきます・・・。表面は平滑になるように接着剤を綺麗に処理しますが、内面は後々でオーバレイしますのでフィレットを作っておきました。
一旦硬化させてから、3k x1plyでオーバレイし、補強しました。作業エリアが狭かった・・・。
フランジまで付いてしまえば形の上ではなんとかなりますので、変形防止で貼り付けていたスチレンボードのリブなどを外し、仕上げをします。外回りは、今回の接着箇所の継ぎ目、元から割れていた個所など目立つ部分はポリパテ修正。最後に軽くコンパウンドを掛けてから目止め剤でツヤを揃えて作り直した部分との見た目を極力揃えました。内面はモノコックのサンドイッチパネル端面を樹脂パテ(エポキシ+フェノリックバルーン)でコーティングしました。剥げ剝げでしたが、元も多分この仕様。
| 仕上げ |
| 端面パテ |
と、LWRの補修はこんな感じの内容でした。パパっと終わらせるつもりが、そうも行かずギリギリのタイミングとなるのでした・・・。
ASSY編に続く。



























