スーパーマイレッジカーチャレンジ広島(以下、広島大会)は好コンディション下かつ、厳正な環境で記録計測が出来るエンジンエコランの国内最高峰とも言える大会です。
電気エコラン業界の方には馴染みが薄いかもしれませんが、2016年(?)よりEVクラスも設けられており、電費エコランが行われる国内の数少ない大会です。
by H.Onishi |
EVクラスは基本的にはエンジンエコランと同じフォーマットで、平均時速25km/h以上で規定距離18.5km(8周)を走行し、電力消費量(Wh)を計測し、電費(m/Wh)を計測します。Shellのレースと同様のフォーマットで電気エコラン車両を評価できる良い機会でもあります。
●事前準備
以前より電費エコランには興味がありましたが、なかなかスケジュールやヤル気の都合でチャレンジ出来ずにいました。昨年の夏、kjhr(nn-techエコランチーム)と鈴鹿の賞金でお寿司を食べながら、来年は電費エコランをやろう!と言うことになり今年のチャレンジと相成りました。
と、言っても特に準備することなく1年過ごし・・・大半は今年の鈴鹿が終わってから2~3週間程度しかなく盆休みも返上で忙しなく準備をしました・・・。
電費エコランでもれなくキモとなるのは、重量(車両重量+ドライバー体重)→加速抵抗・転がり抵抗、電気系効率、駆動効率、モータ効率と言ったところでしょうか? ま、今さら何も出来ないのでw、手持ちの部材を上手く活用して広島大会仕様に仕立てることにしました。
車体はいつもの15mk-2で特に変更無し。むしろ、いつも通りで性能を把握したいかなと言うところ。
モータは減速モータだとチェン減速しか選択肢が無いので駆動効率の観点でNG。必然的にDDモータと言うチョイス。 ミツバM0124の巻線を変更し速度設定。遅いと困るのでw、ちょっと速めを狙い巡航速度27~28km/h。
電源はエネワンで使ったニッケル水素(Eneloop)10直列モジュール(12V)を流用しました。この競技、1km/hって言うのは馬鹿にならない数字で、実際のとこ走らせて見ると速度設定が結構速かったですね・・・。
車体側はレギュレーションで義務付けられているロールバー、シートベルトの対応。
ロールバーは片面レイアップしたサンドイッチパネル(サンドイッチじゃねぇ・・・)を曲げて製作。型作るより楽かなと思いましたが、スキン厚みがあるので結構面倒でした。。簡易型作って一気に成型した方が賢かったですね。
シートベルトはなんかテキトーに。工作は難しいものではないですが、ドライバーに合わせて現物合わせが面倒でした。。
あ、あとは電力消費の計測がキモなので、いつもお世話になっているオメガ電子さんに電費エコラン専用のワットメータを製作して頂きました。計測レンジを狭めて計測精度を上げています。
●大会Day1
今回はドライバーのkjhrと某浜松のmrn先生のスモールな体制。mrn先生には自家用車のキャラバンでの輸送からメカニック、アドバイザーまで多々お世話になりました。
はやくついた。一番乗り。 |
日が変わるころに滋賀のファクトリを出発し、開門時間より早めに到着。
広島大会は以前に見学で来たことはありますが、コースはよく知らないこともあり、設営前にキャラバンで1周。意外と起伏があり、ライン取り等コース攻略にもワンポイントありそう。
広島大会は2日間の計測時間で最大6回程度アタックできます。ドライバー1名体制の弊チームは2アタック/日のスケジュールで予定。 確実に記録を残しておきたいので早めに準備してセッション早々に1回目の走行。『普段通り』の仕様とし、様子見を兼ねて走行です。
モータの速度設定が速く、ラップタイムはかなり余裕ありましたが、データ取りのためにもとりあえずボリューム全開で走らせて様子見。後半はボリュームを絞って速度調整し、次のアタックに向けての練習。
タイムは大きく約2分残し。電力消費は自前のワットメータ読みで16.534Whの消費。1119.7m/Whの記録。オーバペースの割りにまずまず。
課題点を改善して次のアタック・・・と思いましたが、深夜移動が祟ったのかkjhrが熱中症一歩手前?だったこともあり、競技長の中根さんから今日はもう止めときなさいと言われてしまったw
汗の海になったモノコックとカウルをバラして洗浄とアライメントテスタでアライメントを再確認して終了。
お掃除。 by T.Murano |
アライメントテスタ。 by H.Onishi |
夜は楽しいBBQで締まりました。
●大会Day2
2日目も同様にAMの早いタイミングでの2回目のアタック、走行終了時間ギリギリで3回目の出走を行うプラン。 朝イチで3人でコースを徒歩でチェック。特にコーナ出口のテクニカルな箇所の高低差などを念入りにチェック。
昨日でとりあえずの結果は残せていますので、攻めの姿勢(?)でタイヤの空気圧アップ、不要な部品の取り外して僅かながらも軽量化など。昨日は電圧変動を抑える意図で2並列にしていた電源のモジュールをシングル、内部抵抗大きめの電池をチョイスして速度を少しでも落としてみました。
2回目アタック。気温35℃/路面温度42℃。中根さんには路面温度低いからアタックするには早いよと言われましたが、とりあえずアタック。速度を落として走らせてるのが良いのか、ライン取り直したのが良いのか、途中まで前日比 -0.5Whくらいで推移し、良い感じ・・・と思ってたら先にkjhrが暑さにダウン・・・。このアタックはリタイヤ。
午後の3回目が最後になるので余分な電力消費を減らすためデータロガーを取り外したりで準備。気温37℃/路面温度50℃。速度調整も上手く嵌り、良い感じに5秒残しでゴール。でしたが、記録はちょっと振るわず、16.296Whの消費で自前メータ読み1136.0m/Wh。(大会支給のメータは1Wh刻みなので大会記録は1234m/Whとなっていますが・・・)
と、言うことで一応、日本記録達成となりましたw EVクラス優勝でもあり、グラーダさんのサングラスも頂きました。ありがとうございました。
もうちょっと行きたかったな~って言うのも正直なところですが、準備不足も多々あったので満足するとします。
マンネリ化しがちな近年でしたが、新しいフォーマットのレースを経験でき、楽しかったです。色々と気付かされることもありましたので、次回は更なる記録更新を目指したいと思います。